こんにちは、「債務整理ドットコム」のブログを執筆している司法書士の久我山左近です。
「借金の返済が苦しいので債務整理したい。でも、大切にしているロレックスは手放したくない……」
「ブランドバッグや高級腕時計を持っていると自己破産できないの?」
債務整理を検討するとき、このような財産の問題を心配する方は少なくありません。
特にロレックスなどの高級腕時計は、中古市場でも高額で取引されることがあり、モデルによっては購入したときより価格が上昇しているケースもあります。
結論からいうと、債務整理したからといって、高級腕時計やブランド品を必ず処分しなければならないわけではありません。ただし、任意整理・個人再生・自己破産のどの方法を選択するかによって扱いは大きく異なります。
今回のブログでは、債務整理しても高級腕時計は残せるのか、債務整理でのブランド品の扱いを司法書士の久我山左近がわかりやすく解説いたします。
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財産を全部確認したうえで、どの債務整理が適しているのかを判断します。


債務整理すると高級腕時計は処分される?
まず、「債務整理=財産を全部処分する」というイメージを持っている方もいるでしょう。
しかし、これは正確ではありません。
債務整理には主に、任意整理・個人再生・自己破産という3つの方法があります。
このうち、財産の換価・処分が大きな問題になるのは自己破産です。
一方、任意整理では基本的に財産を処分する制度ではありません。
個人再生についても、裁判所は「財産は必ずしも処分する必要はない」と案内しています。
ただし、再生計画による返済総額は、財産を処分した場合の価額を上回る必要があります。
つまり、ロレックスを持っているから債務整理できないのではなく、どの債務整理を利用するかによって扱いが変わるのです。
任意整理なら高級腕時計は原則として残せる
まず任意整理について見てみましょう。
任意整理とは、司法書士や弁護士が債権者と交渉し、将来利息のカットや分割回数の変更などによって返済負担を軽減する方法です。裁判所を利用して財産を換価する手続きではありません。
そのため、「任意整理するならロレックスを売却してください」という法律上のルールはありません。
ロレックス、オメガ、グランドセイコーなどの腕時計だけでなく、ブランドバッグや宝石、自動車などを所有したまま任意整理を行うことも基本的には可能です。
ただし、高額な財産を持っている一方で、任意整理後の返済を続けるだけの収入がない場合には、そもそも任意整理が適切なのかという問題があります。100万円の腕時計を残すために、生活できないほど無理な返済計画を立ててしまっては本末転倒です。
個人再生でも高級腕時計を残せる?
個人再生でも、高級腕時計を売却せずに残せる可能性があります。
個人再生は自己破産とは違い、財産を清算することを目的とした制度ではありません。ただし、ここで非常に重要になるのが「清算価値保障原則」です。
裁判所は、個人再生における返済総額について、債務者が自分の財産を処分して返済に充てた場合の金額、つまり「清算価値」を上回らなければならないと説明しています。
高級腕時計も換価価値のある財産であれば、清算価値を考える際に問題になる可能性があります。
ロレックスを残すと返済額が増えることも
たとえば、借金が500万円ある人が個人再生をするとします。
その人が、
ロレックス……査定額150万円
預貯金などその他の清算価値……50万円
を持っていたと仮定しましょう。
清算価値が合計200万円になるとすれば、再生計画による返済総額も原則として、この清算価値を下回れません。
つまり個人再生では、「ロレックスを没収される」のではなく、「ロレックスを残すことで返済額が増える可能性がある」という点がポイントです。
財産を必ず処分する必要はない一方、その財産価値以上を返済する必要があるという仕組みです。
自己破産では高級腕時計はどうなる?
自己破産では状況が大きく変わります。
破産手続では、原則として破産手続開始時に所有している財産が換価の対象となり、破産管財人が売却などを行って債権者へ配当します。ただし、自己破産したら「パンツ一枚になる」というような制度ではありません。
破産後の生活に必要な一定の財産は、「自由財産」として手元に残すことができます。
法務省によると、代表的な自由財産には、99万円までの現金、差押えが禁止されている財産、破産手続開始後に取得した財産などがあります。また、裁判所が個別事情を考慮して自由財産の範囲を拡張することもできます。
しかし、ロレックスなどの高級腕時計は通常の生活に不可欠な家財とは性質が違います。
したがって、相応の換価価値がある高級腕時計については、自己破産で換価・処分の対象になる可能性があります。
「20万円以下なら絶対に残せる」は本当?
インターネットで、「20万円以下の財産なら自己破産しても残せる」という説明を見かけることがあります。
ここは注意が必要です。
20万円という金額が、すべての裁判所・すべての財産について適用される全国一律の法律上の基準というわけではありません。
自由財産の拡張や換価を要しない財産については裁判所ごとに実務運用があり、国民生活センターの解説でも、各地の裁判所の運用を確認する必要があるとされています。
そのため、「腕時計の査定額が19万円だから絶対に残せる」「21万円だから必ず没収される」というように単純に判断しないことが大切です。申立てを行う裁判所の運用を専門家に確認しましょう。
購入価格ではなく現在の価値が重要!
ブランド品で特に注意したいのが、「いくらで買ったか」と「現在いくらで売れるか」は違うということです。
たとえば、10年前に50万円で購入した腕時計でも、現在の中古市場で100万円以上になっている可能性があります。
反対に100万円で購入したブランドバッグでも、現在の査定額が大きく下がっていることもあります。
債務整理で財産価値を考える場合、重要なのは一般に現在の換価価値です。
そのため、高級腕時計などについて査定資料の提出を求められる場合があります。
特に人気モデルの腕時計は中古価格が大きく変動することもあるため、「昔○○万円で買った」という自己申告だけで判断しない方がよいでしょう。
ブランドバッグや宝石も扱いは同じ?
基本的な考え方は同じです。
問題になる可能性があるのは腕時計だけではありません。
たとえば、
- 高級ブランドバッグ
- ダイヤモンドなどの宝石
- 高級ジュエリー
- 金・プラチナ製品
- 高級ブランド衣料
- 美術品・骨董品
- コレクターズアイテム
などです。
特に自己破産では、単に「バッグ」「アクセサリー」「時計」という名称を見るのではなく、実際に売却したらどの程度の金額になるのかが重要になります。
一方、日常生活で使用している一般的な衣類や通常の家財道具まで、すべて処分されるわけではありません。
法務省も、生活に欠くことのできない家財道具などの差押禁止財産は自由財産になると説明しています。
自己破産前に家族へブランド品を渡してもいい?
これは避けるべき行為です。
「自己破産するとロレックスを処分されそうだから、妻にプレゼントしたことにしよう」
「親に預けて、自分のものではないことにしよう」などと考える方がいるかもしれません。
しかし、破産手続では財産状況を正確に申告する必要があります。
また、破産手続は債権者へ公平に財産を分配する制度であり、財産の不当な処分や特定の相手だけを優遇する行為については、破産管財人による調査や否認の問題が生じることがあります。
当然、財産隠しを目的として家族名義に変更するような行為はしてはいけません。
破産前なら売ってしまってもいい?
売却そのものが常に禁止されるわけではありません。
しかし、「破産したら処分されるから、知人に10万円で売ったことにしておこう」というような不当に安い価格での売却は問題になる可能性があります。
また、適正価格で売却したとしても、売却代金が消えてしまうわけではありません。
100万円の腕時計を100万円で売れば、「100万円の腕時計」という財産が「100万円の現金・預金」に変わっただけだからです。
申立て直前に高額なブランド品を売却した場合には、その売却価格や代金の使途について説明を求められることも考えられます。
自己破産を検討しているなら、高額な財産を勝手に処分する前に専門家へ相談した方が安全です。
高級腕時計を残したいならどの債務整理?
3つの債務整理を比較すると、次のようになります。
| 債務整理 | 高級腕時計・ブランド品の扱い |
|---|---|
| 任意整理 | 原則として保有したまま手続可能 |
| 個人再生 | 保有できる可能性あり。ただし清算価値に影響 |
| 自己破産 | 換価価値が高ければ処分対象になる可能性あり |
「借金はかなり多いけれど、思い入れのある腕時計だけはどうしても残したい」という方であれば、任意整理だけでなく個人再生で解決できないか検討する価値があります。
ただし、財産を残すことだけを優先して、到底払えない返済計画を組むべきではありません。
まとめ|ブランド品を残せるかは債務整理の方法によって違う!
債務整理をしたからといって、高級腕時計やブランドバッグなどを必ず手放すわけではありません。
任意整理なら原則としてそのまま保有でき、個人再生でも処分せずに残せる可能性があります。
ただし個人再生では、ブランド品などの価値が清算価値に含まれることで、再生計画で必要となる返済総額が増える可能性があります。
一方、自己破産では、換価価値の高い高級腕時計・ブランドバッグ・宝石などが換価・処分の対象になる可能性があります。
特に注意したいのは、「取られる前に家族へ渡してしまおう」「知人に安く売ったことにしよう」といった行為です。
財産を隠す方向で考えるのではなく、現在の査定額を正確に確認したうえで、その財産を残せる債務整理の方法があるか検討することが重要です。高級腕時計やブランド品を所有している方は、相談の段階でその存在を司法書士や弁護士に伝え、「残した場合の返済額」と「処分した場合」を比較したうえで、自分に適した債務整理を選びましょう。
ここまでで、今回のブログ「債務整理しても高級腕時計は残せる?債務整理でのブランド品の扱いを詳しく解説!」の
テーマの解説は以上になります。
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それでは、司法書士の久我山左近でした!












